解説
ジョリヴェの作風は、フランスの作曲家の中にあって、異色の個性を放っています。作曲家の道を歩むにあたって、「異端の作曲家」 エドガー・ヴァレーズに出会ったことから、決定的に影響を受けたこともその一因でしょう。原始民族の呪術的な音楽を作品に反映した、独奏フルートのための 「5つの呪文」 などの時代を経て、ジョリヴェは、内面的なリリシズムを作品に反映させるように、作風を変化させていきます。「フルート協奏曲 (1949) 」 はその頃の作品です。『リノスの歌』 はこの間に位置する作品と言えましょう。この曲は1944年の作品で、パリ音楽院の卒業試験の課題曲として作曲されました。この年の卒業者として、J.P.ランパルが名を連ねています。「リノスの歌は、ギリシャの古代文明における挽歌の変形、すなわち葬送の悲歌、叫びと踊りが交錯する哀歌である」と冒頭に書かれており、特色のある旋法を使っています。導入の部分に使われている音と、続く哀歌で使われている音がまったく同じ旋法に属することに気付けば、この作品に一歩踏み込んで行けるでしょう。7/8拍子の特徴的な踊りが印象的です。(解説/三上明子) 20世紀の現代フランス作曲家、指揮者、パリ音楽院教授として活躍したジョリヴェの「生誕百周年」が昨年にあたりますが、彼の音楽が余りに身近な現代音楽として常に生き続けているために、その実感さえ感じえなかった思いです。彼は人間性、民族性の回帰、非ヨーロッパ地域の神秘性、原始的な音楽を探求し、彼の独自の「旋法」、E.ヴァレーズから学んだ「12音技法」を基に、それを「呪文・祈・歌・舞踏」の形で多くの作品に反映させました。そこで今回はそれらの名曲(作品表参照)をご紹介を致します。彼のフルート音楽の源泉は『五つの呪文』と考えています。ジョリヴェはこの年、メシアン等と共に現代音楽グループ《若きフランス》を結成し、それ以降、晩年の『アッセーズ』にいたるまでの30余年に亘りフルート作品を書き続けました。室内楽において、彼は伝統的な固定化した楽器編成に囚われない多彩な楽器の組合せにより、多種多様で独創的な作品を生み出しました。そして最後は未完に終わった「笛・太鼓」の曲で世を去りました。 この曲は1944年にパリ音楽院の卒業試験のために書かれ(Fl.Pf.)、後にピアノ・パートが弦楽三重奏とハープに書き改められ、P.ジャメ四重奏団により翌年の6月1日初演されました。ジョリヴェは「《リノスの歌》はギリシャ神話に基づくもので、葬儀の哀歌、興奮と舞踏で寸断される悲歌」と記しています。曲は序奏に続き「哀歌」「熱狂」「舞踏」が技巧的に、繰り返し展開される構成です。神話には「リノスはオルフェウスの兄弟で、死んだ英雄を悼む歌を奏でる神であり、英雄ヘラクレスの竪琴や歌と学問の師でもあった。竪琴をうまく弾けず師匠に叱られたヘラクレスは、その仕返しに竪琴でリノスの頭を殴り、殺してしまった。そこで、オルフェウスが葬儀祭壇で「リノスの歌」を歌った。(以下省略)」とあります。作曲の年の8月25日はパリ開放により平和が訪れた時でした。戦時中彼が「兵士の三つの訴え(1940)」「平和の日のためのミサ(1940)」を作曲したことを考えると、この曲は戦没者を弔う「哀歌」に思えてなりません。(解説/佐野悦郎)ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。