解説
クーラウは幼い時に事故で片目を失い、ハンブルクに移って作曲家、ピアニストとして活動を始めた後、ナポレオンの軍隊の徴用から逃れるためにコペンハーゲンに逃れるなど、終生、様々な苦労を重ねた人でした。収入を得るために、多くの教育的なピアノ曲、当時人気のあった楽器フルートのための作品を残していますが、いずれも正統的な音楽に連なる方向を目指しています。 作品57には3曲のフルートとピアノのためのグランド・ソロが含まれていますが、この3曲は同時に2本のフルートのための版もあります。このデュエット版は、ドレスデンの名フルーティスト、フュルステナウに献呈されているので、作品57のフルート・パートは彼を念頭に置いているのかもしれません。 第1番ヘ長調は、全曲を通して活躍するフルートに対して、ピアノ・パートが単調なことは否めません。第1楽章は、のびやかな主題が印象的。アダージョの中で美しい装飾を見せる第2楽章はベートーヴェンにつながる音楽です。フィナーレは対照的な部分をはさんだロンド形式。デリケートな仕上がりになっています。(解説/三上明子)ニュース
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