解説
今や、フルート、ヴァイオリン、チェロなどの愛奏曲として有名なこの曲は、元々、声楽曲で、パリ音楽院からの求めに応じて書かれた中声のレッスン用小品でした。ヴォカリーズ、つまり、歌詞なしで母音で歌う母音法のための作品であることも、器楽曲として親しまれる要因のひとつと言えましょう。「ハバネラ」 は2拍子のリズムを持ったハバナ島 (キューバ) の舞曲ですが、起源はスペインにあり、特にビゼーのオペラ 「カルメン」 で、カルメンの歌う 「ハバネラ」 の情緒には忘れ難いものがあります。ラヴェルの 「ハバネラ」 は、ソルフェージュのゆるがせにできない緻密なリズムや旋律の書法の中に、スペイン的な色彩を色濃く感じさせる名品となっています。フルートで演奏する場合、音域の設定や、「歌」 的にとらえるか、「笛」 的にとらえるかなど奏者の選択に任されます。(解説/三上明子)ニュース
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