解説
『狩』(原調 B-dur)はJ.ハイドンに献呈された6曲の弦楽四重奏曲の第4番です。1784年11月9日ウィーンで完成し、父レオポルトがウィーン滞在中に、J.ハイドンの御前で初演されました。これは最もハイドンの作風を模範にした作品と評され、また彼のフルート四重奏曲にも共通した類似点が感じられます。全4楽章から構成された古典様式の曲で、編曲は(L.Andrews)調性の変更(C)以外、原曲に忠実な形で再現されています。第1楽章はソナタ形式、『狩』の愛唱を持つ軽快な第1主題、それに明確な形で第2主題 (54小節)を表さない「ハイドン風様式」で書かれ、展開部は長閑な牧歌風主題が冒頭から現れ対照的に歌われます。第2楽章はトリオ付のメヌエットで、その主題は変則的なリズムの流れが面白く、またトリオが同調性であることはハイドン書法を真似たものです。第3楽章は展開部を省略したソナタ形式で、歌劇アリアを思わせる大胆な第1主題と優美なセレナード風の第2主題が魅力的です。第4楽章はソナタ形式、ハイドンの主題(Op.33-4)を引用した快活なロンド風の第1主題は爽やかです。また、展開部は緻密な対位法的書法で書かれています。(解説/佐野悦郎)ニュース
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