解説
「ドン・ファン」などの交響詩、「ばらの騎士」などのオペラの作曲者、リヒャルト・シュトラウスは後期ロマン派の大きな存在です。シュトラウスが「ドン・ファン」を発表する2年前の24歳のときに、この作品の原曲「ヴァイオリン・ソナタ」は完成されました。その時期、シュトラウスは、ミュンヘンのオペラの副指揮者をしていました。この頃から交響詩的な手法を示しはじめていた彼は、ロマン派を継承しつつ、自らの新しい方向を盛り込んだ意欲的な作品として、この作品を完成させました。ヴァイオリンとピアノの両パートとも、技巧度は高く、若きシュトラウスのあふれんばかりのエネルギーとロマンが込められています。フランクのヴァイオリン・ソナタのように、作曲された当時からフルートでも演奏されていた場合とは違い、この曲のフルート版演奏は最近になって試みられました。極めて表現の巾の大きい第1楽章では、うまく実現できればヴァイオリン版と違った抒情性が生きるでしょう。第2楽章は「即興曲」と題され、白昼夢のような感覚を抱かせる非常に美しい楽章。第3楽章では、英雄的な動きと大きな歌い回し、スケルツァンドの要素が巧みに配され緊迫した楽章を構成します。(解説/三上明子)ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。