解説
クーラウはドイツに生まれデンマークのコペンハーゲンで活躍した前期ロマン派の作曲家兼ピアニストです。フルート界では彼を≪フルートのベートーヴェン≫と呼ぴ、多くのフルート作品が知られています。研究が進むにつれて、一般に彼はフルートを演奏したと考えられていたことも、実際には演奏はせず、楽器に関する知識は王立管弦楽団のフルーティストに負うことが多かったということが分かってきました。宮廷音楽家と演奏活動だけでは収入不足で、それを補うためにフルート作品を書いたようです。作曲の動機はともかく、残された彼の多くの作品が様々に形を変えて現代に蘇り、笛吹き達の心を和ませてくれているのは幸いなことです。『3つの華麗な二重奏曲 作品81』 は1826年頃に作曲され、1827/28年にSimrockから出版、J.L.トゥルーに献呈されました。難易度の点から考えて、クーラウの二重奏曲の中でまず最初に最り組むのがこの 「二重奏曲」 であり、続いて 「作品80、作品10」 に進むのが一般的な教程です。前述の 『作品80』 同様に前期ロマン派の典型的な3楽章構成で書かれています。これらの二重奏曲 「作品80、81」 を書いた前年 (1825) にクーラウは、ウィーンでベートーヴェンと会って親交を結ぴ、そこでお互いに即興 『カノン』 を交換し合いました。クーラウの旋律線の綾が美しい (対位法的) 理由は、この逸話の周辺に隠されているかも知れません。(解説/佐野悦郎)ニュース
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