解説
E.ルドゥイユは、多方面で活動している、現代フランスの若手フルーティスト、作曲家です。この四重奏曲「暗い海岸」(2008) は単一楽章で書かれた小品で、表題通り、闇の世界を幻想的な響きで、軽妙なタッチで描いた作品です。曲が進むにつれ情景が移りゆく様子を、小曲をつなぎ合わせて表現し、その楽譜の上には副題のようなガイド (ト書き) がそえられています。序奏は不協和音と協和音が交互に響きわたる不気味な幻影、半音階的旋律が近寄って、何かが迫ってくる気配が感じられます。Lento 4/4「船が近づいてくる」 これに続くAllegro energico 6/8は奇妙なダンスが軽妙に踊られる「幽霊の振付」です。曲は一瞬寸断されます。間奏 Moderato 2/4は「小休止」で、これは「海の凪」をも意味します。Lento 4/4「暗くなる」は再び、序奏の不気味な不協和音の響きが再現して、闇に包まれます。曲はまたも一瞬寸断、今度は局面が一転し、Presto 2/2「悪魔のような踊りと礼讃 (栄光)」に入り、終始一貫して半音階的に小刻みに打ち続けるリズムに乗って奇妙な悪魔のダンスが踊られます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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