解説
グラウン家は3兄弟で活躍したドイツ前古典派の音楽一族です。ヨハン・ゴットリープは弟のカール・ハインリッヒと共にフリードリヒ大王の宮廷音楽家として仕え、室内楽作品を数多く書き残しましたが、目録でも兄弟どちらの作品か明確にはされていません。このトリオ・ソナタはドレスデンのザクセン州立図書館の手稿譜を基に校訂された貴重な初版です。同宮廷で共に仕えたC.Ph.E.バッハの様式と同様に、優美なギャラント様式の「緩・急・急」の楽章配列です。第1楽章 [Es] 4/4 Adagio は初期のソナタ形式で、明るい第1主題の旋律をヴァイオリンが奏で、次にフルートが模倣します。第2主題 [B] は断片動機をヴァイオリンとフルートが対話し、充実した展開部は旋律の綾が美しく応答を繰り返します。第2楽章 [Es] 2/4 Vivace は古い様式の二部形式で、シンコペーションを含む躍動する舞踏風楽句が、姿を変えて模倣します。第3楽章 [Es] 4/4 Allegro は二部形式の中の「再現部」から、揺籃期のソナタ形式の兆しが感じ取れます。軽快な第1主題は模倣しながらシンコペーション上に躍動し、止めどなく前進し、三連符楽句(第2主題)に繋がります。後半は主題が模倣され展開部を思わせる主題が躍動します。(解説:佐野悦郎)ニュース
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