解説
この三重奏曲は19世紀中頃にロンドンのクレメンティ社から出版され、その楽譜のタイトル頁には作曲者、出版社、献呈(G.E.Aubrey)が刻まれています。19世紀ロマン派の典型的な3楽章構成で書かれ、第1楽章はソナタ形式、第1主題[F]は活き活きとした付点音符動機が前進し、第2主題[C]は下行音階が滑空します。続いてギャロップ風の副主題が活発に躍進します。展開部は第1主題が次々と転調を重ね、再現部となります。第2楽章は二部形式で書かれ、民謡風主題[B]が優美に歌い、再現主題は一瞬、悲しく短調[b]に転調して直ちに主調[B]に戻ります。第3楽章はロンド形式の枠組みで書かれ、軽快なロンド主題[F]は最初と最後の部分に現れます。中間に挟まれるロンド主題は省略され、その代役として特徴的な3つの挿入楽句主題が中間部に出揃い美を競います。ハーグリーヴスは19世紀半ばに英国で活躍したフルーティスト、作曲家です。リヴァプールに生まれ、港町リスカードで生涯を閉じました。音楽をサー H.ビショップに、絵画を肖像画家のサー T.ローレンスに学んでいます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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