解説
この作品は室内管弦楽のために作曲された「Tell My Fortune〈私の運勢占い〉(2004)」の第2楽章「クリスタル」を基に編曲した作品で、作曲家の言葉では、「水晶玉の中を凝視し、運勢占いを試みることで、ジプシーの暗闇の世界へいざなう……」とあります。ミシガン大学教授のA.ポーター氏の委嘱作品で、2006年に同校で初演されました。単一楽章で書かれた劇的な悲歌で、むら息(風音)を始めとして現代特殊奏法を多用し神秘的な響きを醸し出しています。冒頭でアルト・フルートが奏でる旋法的旋律(東洋的音階)が美しく、続くピアノが強打される打楽器的なオスティナート伴奏リズムにのり二重奏が幻想的な響きで奏でられ、やがて超技巧的楽句が激しくうねり延々と躍動します。終盤ではフルートの神秘的なカデンツァを経て、徐々に冒頭主題を呼び戻し静寂となります。曲の随所にはウィンド・チャイム(オプション)の効果音が用いられています。M.ドアティはアメリカの現代作曲家、ピアニスト、ジャズ演奏家、ミシガン大学教授で、管弦楽、吹奏楽、室内楽等、多岐にわたり大変多くの作品を発表し続けています。(解説/佐野悦郎)ニュース
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