解説
ロマンティックに流れる美しいフルートの旋律の綾は「協奏的二重奏曲(伴奏付き)」と呼ぶのに相応しい編曲です。原曲はシューベルトが最晩年(1828年6月)に作曲したピアノ連弾曲「大ロンド イ長調 D. 951」です。彼の死後(11月19日)間もなくアルタリア社から出版(12月11日)されました。構造的には「大ロンド」ですが、挿入楽句は第2主題の性格があり、中間部が展開部の役割を果たしているように見えることから、ロンド・ソナタ形式が感じられます。ロンド主題[A](第1主題)は美しい和声の中から湧き上がる歌謡的旋律の響きで二重奏曲(2Fl.)として最適です。挿入楽句[E](第2主題)は3つの旋律(2Fl. & Pf.)が曲線を描くように、対位法的に寄り添って美しい和声を奏でます。挿入楽句[C]は堂々としたバス旋律です。優美に流れる旋律線が終始一貫して3連符の連続分散和音で華麗に飾られ、展開部のように多彩な転調を経て、ロンド主題[A]を導きます。ちなみに、シューベルトは連弾曲を大変多く作曲し、14歳という若い時から亡くなる最晩年の時まで、絶え間なく書き続け、32曲が知られています。 (解説/佐野悦郎)ニュース
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