解説
ヴィヴァルディが活躍していた当時のイタリアの貴族の間では、伝統的にチェンバロ、声楽、ヴァイオリンが重んじられ、管楽器は軽く見られる傾向がありました。しかし、その頃のドイツやフランスなどでは、フルートは貴族の愛好する洗練された楽器と見なされて大いに人気があったのです。そのような背景のもとで、1729年頃、アムステルダムの楽譜出版社ル・セーヌの要請によって出版されたのが、このフルート協奏曲集 作品10です。第1番「海の嵐」は、標題のように荒れ狂う海の激しさを音楽で表現しています(原曲はフルートあるいはリコーダー、オーボエ、ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のための室内協奏曲 RV98)。ヴィヴァルディにはヴァイオリン協奏曲 作品8の5「海の嵐」がありますが、第1楽章はプレストなのに対して、フルート協奏曲ではアレグロになっていて、若干の類似はありますが別の作品です。第2楽章ラルゴを経て、第3楽章プレストでは、跳躍や速い3連符のパッセージを盛り込み、海の嵐の題名にふさわしいフィナーレです。(解説/三上明子)ニュース
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