解説
ドンジョン(1839-1912)はフランスのフルーティスト、作曲家です。チュルーに師事し、パリ・オペラ座管弦楽団、パリ音楽院管弦楽団、パドルー管弦楽団で活躍しました。「パストラル」と標題のあるこの楽譜には「パン Pan」と「ピポー Pipeaux」の2曲が収められています。初版は1892年のパリです。この内の「パン」は31曲集めたロングセラーの名曲集にも取り上げられて知られるようになった曲です。「パン」はギリシャ神話のシランクスの話に登場する牧人と家畜の神です。ルーセルの「笛吹き達」にも同名の曲があります。「ピポー」は牧笛もしくは鳥笛を意味するフランス語です。小鳥を思わせる楽しげな主題が繰り返し現れるロンド風の小曲です。「パン」の清爽な雰囲気と対となって、牧歌的な風景を彩り豊かに想像させてくれます。楽譜には初版から詩が添えられています。「パンは死んでいない! Pan n'est pas mort !」と始まる短い詩は作者不詳ですが、この音楽に秘められたイメージを補ってくれるかのようです。(解説/諸田大輔)ニュース
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