解説
旋律線と伴奏音形の対比が映える、3楽章構成の近代ソナタ様式の素晴らしい三重奏曲です。I.Allegro 4/4 は、前奏からさざ波風5連符旋法[h-D-Fis-G-A]伴奏が終始一貫して連鎖し、色彩変化を重ねて近代風旋律線の綾が舞い踊ります。中間部の持続伴奏音形は16分音符に変化し、付点音符旋律をアルト・サックスが奏で、フルートにリレーされ、やがて3連符のミニマル風伴奏からトリオに戻ります。後半はピアノの重厚な響きの中にクライマックスを築き、再現部は省略されコーダです。II.Andante 6/4 は三部形式、清らかな和声[E-H]-[H-Gis]-[Gis-Dis]音の持続伴奏音形に神秘的な旋律線の綾が厳かに浮かび上がってきます。中間部 5/4 は空の五度[D-A-D]和音の持続伴奏音形上に交互にフルートとアルト・サックスで魅惑的な近代的旋律を披露します。後半は伴奏が徐々に重厚な響きに包まれ、急速な大波音形の渦に巻き込まれ、最後は中間部主題が後奏となります。III.Allegro 3/4 はロンド・ソナタ形式風、低音伴奏音形は音階[F-Ges-As]を展開させたリズムで踊り、ロンド主題が交互に追走します。第2主題の付点音符旋律は同調し歌い、3連符は渦をなします。中間部は連打[C]持続リズム上にロンド主題断片が乱舞します。再現主題は一体化し激流となり、第2主題は激動する伴奏上に戯れ、最後は同形反復音階が奔流となります。 (解説/佐野悦郎)ニュース
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