解説
P.ハースはチェコのブルノで生まれたモラヴィア系ユダヤ人で、第二次世界大戦中にホロコーストで殺害された悲劇の作曲家です。作品番号が付いている全18曲中の重要な1曲で、半音階的旋律を有する神秘と悲劇が蠢く幻想的な木管五重奏曲です。組曲形式の4つの舞曲で構成され、I.「前奏曲」9/8 は[C-H-B-A](Bach) の半音階的断片動機に[D-Cis]が繋がり、半音階的旋律が模倣とリズム変奏を重ね悲劇的旋律を生み出し、後半では4度累積和音に6度、7度音程動機が乱舞し、持続半音階と持続トリルの中に冒頭の半音階旋律が再現されます。II.「祈り」3/4は“神秘的に悲しげに”と記された聖歌です。3度音程のトレモロ風に揺れる祈りは付点音符動機の聖歌となり、クラリネットのカデンツァ風の祈りを経て全体で聖歌が歌われ、最後は喜びの賛歌で終わります。III.「奇妙な舞踏」4/4はファゴットの連打音[E]に4度音程[D-A-E-D]動機が終始一貫して持続し、クラリネットの短前打音シンコペーション・リズムが絡み合い、クラリネットとピッコロが軽妙な踊りを舞い始め、舞踏は次々と奇妙に姿を変化させ乱舞します。IV.「エピローグ」5/4終曲は全体がオスティナート動機に支配され、その上に半音断片動機が蠢き、奇妙な牧歌的旋律が生まれ躍動します。 (解説/佐野悦郎)ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。