解説
バロック舞曲を模した組曲ですが、これは外見のみで、音楽は全く異なり、モダン・ジャズ和声法で書かれた現代組曲です。【Perfect Storm】は18世紀後半の初期古典派時代の革新的文芸運動を指す独語「Sturm und Drang(疾風怒濤)」の引用と推測します。その革新的衝動とはバロック舞曲にモダン・ジャズの和声とリズムを吹き込むことが「完璧な衝動(嵐)」と解釈します。I. Toccata 4/4は急速な即興的音階走句の常動曲であり、ピッコロとフルートが常に即興的音階主題をシンクロさせて通奏低音を模したバス進行伴奏と戯れます。中間部は各声部が独立して即興的断片楽句で対話します。II. Sarabande 3/2はスペインの厳かな3拍子舞曲で、三部形式で書かれ、バス平行5度進行(空虚の5度)から始まり、徐々に深みを帯びます。ピッコロとフルートの綾は奇怪な上行音階旋律を模倣し、神秘的で現代的な響きの世界に誘い込まれます。III. Rondo 4/4はソナタ風に書かれ、5度動機のロンド主題は2つの五音階的旋律[G-A-H-D-E][Fis-A-H-D-E]で合成され、軽妙に転調しながら模倣されます。展開(中間)部では細かな4度5度断片動機が乱舞する中に魅惑的な平行5度旋律、平行6度旋律等の各種旋律が舞い躍ります。(解説/佐野悦郎)ニュース
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