解説
Le. de ロレンツォ (1875-1962) は今世紀前半にアメリカで活躍したイタリア生まれのフルー ティスト兼作曲家です。イーストマン音楽大学で教鞭を取る傍ら、永年暖めておいた作品 (1912-1923) を一冊にまとめ、近代技巧的練習曲 『イル・ノン・プルス・ウルトラ』 を発表し、またフルートを含む種々の編成による 「木管楽器室内楽作品」 を出版社ペータースから出版しました。それに彼は、E.ケーラー、A.アルビージと親交を持ち、近代・現代のフルート・アンサンブルの礎を築き、各国に多くの影響を与えました。その3大名曲が 『シンフォニエッタ 作品75 (5Fl) 』 『イ・トゥレ・ヴィルトージ 作品31 (3Fl) 』 と、この神秘的な『 カプリッチオ (小奇想曲) 作品82-3番』 です。この変化に富む最上級の作品は全音音階、増3和音半音階的進行を駆使して、大半はカノンの書法で書かれています。各主題動機が次々と重なり、甍の波のごとく押し寄せて応答していく様は見事であり、高度のアンサンブル技術を要します。この 『カプリッチオ』 が出版されたのは、彼が亡くなった翌年 (1963) でした。この頃が我が国のフルート・アンサンブルの曙であり、彼の作品から多くを学んだのでした。(解説/佐野悦郎)ニュース
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