解説
この作品は、ロマン派のフルート・ソナタとして最も重要な作品と言えましょう。ライネッケは、ライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者、モーツァルトの演奏で定評のあったピアニスト (ライプツィヒ音楽院の教授)、そしてメンデルスゾーンやシューマンの多大な影響を受けた作曲家として、19世紀後半、ドイツで大活躍しました。ドイツ・ロマン派の作家フーケーの、水の精ウンディーネと騎士フンボルトの悲恋物語 「ウンディーネ (水の精) 」 にインスピレーションを受けて構想されたこのソナタは、1882年に作曲されました。第1楽章には、水や波のテーマと人間の魂へのあこがれ、そして静寂への回帰が描かれます。第2楽章は、16分音符のスタッカートで表される精神の飛翔と、続く部分の人間の世界の対比が素晴らしい。第3楽章は、愛情の対話でシューマン的世界。途中、水の世界からの邪魔がはいります。第4楽章は、ドラマが暗示され、追憶のエピローグを迎えます。残念ながら自筆譜は失われており、初版のミスが直されずに、いくつかの出版社からの版が重ねられていましたが、Forberg 版 (1993) では、ミュラー=ドンボワ氏により校訂が行われています。(解説/三上明子)ニュース
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