解説
Bohuslav MARTINUの波乱の生涯は、その特徴的な作風と様式含めて、創作活動期を大きく【4つの時代】に区分されます。プラハ音楽を中退し、チェコ・フィルのヴァイオリニストとして活躍していた「チェコ時代(1890-1923)」。R.ルーセルに作曲を師事し、新古典主義に傾倒した「パリ時代(1923-1941)」。ナチス=ドイツの支配から逃れアメリカに移住し、ボストン交響楽団のクセヴィッキーの庇護を受けた「アメリカ時代(1941-1953)」。戦後の混乱期に再び祖国に戻る機会を探りながら晩年を過ごした「ヨーロッパ時代(1953-1959)」です。彼は各時代に多種多様な楽曲を多彩な楽器編成で描き続け、その全作品総数は約400曲に及びます。その中の【室内楽曲】においては独奏曲=99曲、二重奏曲=46曲、三重奏曲=15曲、四重奏曲=17曲、五重奏曲=6曲、六重奏曲=4曲、七重奏曲=3曲、九重奏曲=3曲が残されています。 マルティヌーのフルート室内楽曲は「パリ時代」と「アメリカ時代」に分かれ作曲され、パリでは新古典主義に傾倒した様式で書かれ、協奏曲含めてBarenreiter社から出版されました。中でも1939年パリで作曲されたこの『プロムナードH.274』は典型的な新古典主義の様式を意識した作品です。チェンバロを使用し、煌びやかさと古典的な響きを追求しています。第1楽章は単純明快なコミカルなリズムと装飾音の組み合わせが楽しく印象的な小品です。第2楽章は民族的な懐かしい旋律の綾と不思議な伴奏音形が夢幻の世界へ誘います。第3楽章は大変に軽妙なモティーフによるリズムの遊びでアンサンブルの妙技が見物です。第4楽章は各楽器が放つ急速なリズムがの躍動感と緊張感を生みだします。(解説/佐野悦郎)ニュース
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