解説
グルックは、オペラ 「オルフェ」 の中の 「精霊の踊り」 の作曲者として、フルーティストの恩人とも言える人ですが、この 「フルート・コンチェルト」 は彼の若き日の作品と考えられています。ドイツで生まれ、チェコ (ボヘミア) で育ち、ウィーンとパリでオペラの作曲家として活躍したグルックは、ミラノのサンマルティーニの下で作曲の研鑽を重ねた時期 (1737-1740) がありました。このコンチェルトはその時期の作品と考えられ、オペラ作曲家として大成したグルックとしては珍しい器楽曲です。作曲者を知らずに聴けば、バロックから古典派へ移り変る時期のスタイルを聴き取ることができるでしょう。第1楽章は、主題の展開が、十分ではありませんが、親しみ易いパッセージでまとめられています。第2楽章は、優美な節回しを見事に譜面に書き留めることに成功しています。第3楽章は、少し重めのメヌエット風の楽章。アマデウス版では、このコンチェルトの筆写譜 (カールスルーエの図書館蔵) を忠実に校訂していますが、カデンツァも当時のものが復刻されていて興味深い資料となっています。第3楽章のカデンツァには、18世紀慣例のヴィブラートのマークがあります。(解説/三上明子)ニュース
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