解説
「アスカニオ」 は、今日では殆ど上演される機会のないオペラですが、第3幕のバレエのために書かれたこの小品は、精気に満ちた佳曲といえましょう。この場面では、愛の神キューピッドがプシュケーに名を明かす筋書きで、古典主義的な舞台づくりだったと想像されます。1890年にパリ・オペラ座で初演された折には、フルートを演奏したタファネルが、バレリーナと共に喝采を受けたそうです。サン=サーンスは、1887年と1889年にロシアへ、タファネルの仲間と演奏旅行を行なっていたので、気心の知れた仲間としてこのソロを書き上げたのでしょう。デュラン社から出版されている楽譜では、タファネル自身が校訂をしています。古い録音では、フィリップ・ゴーベールの演奏が残されており、当時の音を聴くことができます。小曲ではありますが、「フレンチ・スクール」、「フランスのフルートの伝統」 の流れのなかで、忘れがたい作品だと思います。(解説/三上明子)ニュース
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