解説
サン=サーンスは1887年、フランス赤十字の企画した演奏会のためにこの曲を書き、デンマークの王女だったロシア皇帝アレクサンドル3世の皇后マリア・フョードロヴナ(王女ダグマール)(1847-1928)に捧げました。当時フランスで結成された「管楽器のためのフランス室内楽協会(1879)」のメンバー、P.タファネル(Fl.)、G.ジレ(Ob.)、C.チュルバン(Cl.)とロシアに行き、そこで共演をすることがもう一つの目的でした。この《カプリス》は、序奏部が管楽器とピアノの華やかな分散和音によってはじまり、主要主題は3つの部分から構成されています。第1部はデンマークの俗謡「王妃ダグマール*」の旋律を用い、各楽器が美しく悲しげに語り、その後に変奏曲が続き、「牧歌風旋律」が中間に歌われ、再び俗謡主題に戻ります。第2部は皇后の姉アレクサンドラが英国に嫁いだことから、「英国風の牧歌主題」に引き継がれ、各楽器で自由に奏でられます。第3部はピアノ伴奏に乗った軽快な「ロシア民謡風主題」についで、先に現れた各国の変奏主題が交錯し、最後のコーダは軽快な主題が引き継がれ、華やかに幕を降ろします。 (*王女ダグマールとは時代の異なる別人)ニュース
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