解説
ムチンスキーは20世紀後半に米国で活躍した現代作曲家です。伝統的書法を用い、躍動感漲る動機を合成し、叙情性豊かな表現が特徴です。この曲は1958年、彼が木管室内楽のために最初に書いた作品であり、これが起点となり、作品番号のある数々の名曲が生まれました。【フラグメンツ Fragments】とは断片の意味で、動機断片、断章とも解釈でき、作品番号が無いこの曲では、習作の「未完遺稿」の意味とも推測できます。全5曲は各曲共に三部形式で、それぞれの演奏時間が1分に満たない特徴的小品集です。I. Waltzはフルートが優美に舞い、クラリネットとファゴットの動機断片がかみ合って伴奏リズムを形作ります。II. Solitude(孤独)は静寂にクラリネットとファゴット、フルートとファゴットが現代的な響きを醸し出し、フルートとクラリネットが神秘的な半音階的旋律を静かに奏で受け継ぎます。III. Holidayは快活で陽気でリズミカルな動機が躍動する中、フルートが元気に駆け巡ります。IV. Reverie(夢想)は夢路に誘われるように、静かな下行旋律主題が浮遊します。V. Exit(出口)はクラリネットとファゴットの軽妙な4度(5度)音程の連続と累積による動機が断片的にかみ合い伴奏音形を形成し、その上にフルートの主題が飛び交います。(解説/佐野悦郎)ニュース
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