解説
現代を代表する作曲家の一人、フランスのピエール・ブーレーズは、指揮の分野でもめざましい活躍を続けています。現代音楽に様々な形で貢献しているブーレーズの若い時代の重要な作品として 「フルートとピアノのためのソナチネ (1946) 」 が挙げられます。曲の構造が厳格、精密で完成度が高いので、現在でも取り組みのむずかしい作品ですが、作曲当時も、1947年にブリュッセルで、ヴァン・ボッテルダールとマルセル・メルスニエによって初演された後に忘れ去られた時期がありました。1956年にダルムシュタットで、セヴェリーノ・ガッツェローニとデヴィッド・チューダーの再演により、急速に広まりました。曲の構成は、シェーンベルグの「室内交響曲第1番」をモデルにしていて、大規模な単一楽章の中にソナタの要素を配置させています。しかし、手法の上では、イントロダクションに続く主題提示部でフルートのパートに現れる12音による旋律主題をもとに音高やリズムを複雑に展開して行くブーレーズ独自のものです。フルートもピアノのタッチと同じように、軽く鋭い、作品の要求するデジタル的な対応を余儀なくされるので、高度のソルフェージュ能力を伴ったフルート奏法が前提となりましょう。(解説/三上明子)ニュース
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