解説
「マドリガル」 に続き、ゴーベールの作品紹介です。フランスのフルート作品には、コンクール用を前提に書かれたものが多くありますが、この曲は、もっと音楽の楽しみを味わうために書かれたようです。愛弟子であったマルセル・モイーズに捧げられているので、おそらくモイーズの流麗たる音色を念頭に書かれたのではないでしょうか。第1楽章パストラールは平明ながらも微妙で自然なテンポの移り変りが、さらさらした水の流れや山並みを思い起させます。第2楽章アンダンテはバルカローレ風の美しい曲想を持っています。息の長いフレーズは、まさにフルートにしかできない表現ではないでしょうか。第3楽章はアラベスク調のピアノ伴奏とフルートの旋律の絡み合いが、えも言われぬ味わいを醸し出します。ゴーベールと共に仕事をしたこともあるピュイグ=ロジェ先生は、この作品に、フォーレやドビュッシーの微かな痕跡が見られるとおっしゃいました。パリ音楽院オーケストラ、パリ・オペラ座の指揮者として同時代の多くの作品に立ち会ったゴーベールならではの作品と言えるでしょう。(解説/三上明子)ニュース
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