解説
20世紀前半のパリで、ゴーベールはフルーティスト、作曲家、指揮者、教育者として大いに活躍しました。作曲家としては、フルートを含む作品が多く取り上げられますが、オペラ、バレエ、管弦楽作品もたくさん残しています。また、ボードレール、ヴェルレーヌ、サマン、レニエ等の詩をテクストに用いて歌曲も多数作曲しています。ドビュッシーからの強い影響を受けた世代と言えましょう。1914年に作曲されたフルートとピアノのための「2つのスケッチ」は、比較的初期の作品。第1曲「平原の夕暮れ」、第2曲「オリエンタル」の2曲から成っています。「平原の夕暮れ」の冒頭には、象徴派詩人アルベール・サマンの同名の詩の一節が引用されています。象徴派の詩に発想を得ているので、「平原」は実際の風景の意味合いのみではないでしょう。G#から始まる旋律は、どこかドビュッシー『子供の領分』の「小さな羊飼い」を思い出させます。G#がA♭に読み替えられる錯覚が美しい。1919年録音でゴーベール自身の演奏が残されているので、彼自身、気に入っていた作品ではないでしょうか。「オリエンタル」は、当時のフランスの東洋趣味をほうふつとさせる作品。短いながら、明るい印象の残る曲です。ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。