ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~
Memories Of YouVol.49 秋元 万由子 先生
C.ライネッケ
フルート協奏曲 ニ長調 OP.283
フルートを学んでいる人なら、誰しも「この曲と歩んできた」と言える曲があるのではないでしょうか。私にとって、それはライネッケの「フルート協奏曲 ニ長調 Op.283」です。初めて人前でこの曲を演奏したのは、高校2年生の時のことです。当時、私はアメリカの高校に通っていました。音楽高校ではありませんでしたが、芸術教育に力を入れており、生徒それぞれが音楽・バレエ・美術など好きな芸術分野のクラスを選択することができました。音楽を選択した生徒たちの間で行われる校内コンクールが、この曲の最初の「本番」でした。
本番ではピアノ伴奏で、第3楽章を暗譜で演奏しました。同じ主題が繰り返されるたびにアーティキュレーションが少しずつ変わるため、暗譜にはずいぶん苦労した記憶があります。また、コーダの速いパッセージを吹き切ることはテクニック的に挑戦でもありました。それでも、この曲で校内コンクールの優勝を果たすことができ、「将来は音楽の道へ」という想いがいっそう強くなりました。初めて大きな自信をもらえた曲でもあります。
それから数年が経ち、ミュンヘン音楽大学の大学院へと進みました。リーバークネヒト先生のクラスに在学中、ついにオーケストラとの共演の機会が訪れます。オーストリアとの国境にほど近いバート・ライヒェンハルという小さな街のオーケストラとの演奏会で、指揮は同大学の指揮科の学生が担当するという企画でした。
リーバークネヒト先生と門下生たち
しかし、いざオーケストラと合わせてみると、想像以上に難しいものでした。レッスンや講習会、オーディションと何度も演奏してきたはずの曲でしたが、実際にオーケストラと演奏することは、ピアノと演奏するときとはまるで勝手が違います。第1楽章のロマンティックで優雅なメロディは一見そこまで難しくなさそうに感じますが、この長いフレーズをオーケストラの厚みに負けない音量で歌い切ることには、本当に苦労しました。リーバークネヒト先生にはフレーズの歌い方や、ホールの隅まで届けるための音色、ビブラートのかけ方などをたくさん教えていただきました。
長年憧れてきたこの協奏曲をオーケストラと共演できたことは、かけがえのない経験として今も深く心に残っています。
AKIMOTO MAYUKO秋元 万由子 先生 /新宿教室 木曜日クラス
東京都出身。高校時代をアメリカで過ごした後、渡独。フライブルク音楽大学を経てルツェルン音楽大学を満点で卒業。その後ミュンヘン音楽大学大学院にてA.リーバークネヒト氏に師事。
2018年紀尾井ホール「明日への扉」リサイタルシリーズに出演。
第9回神戸国際フルートコンクール第4位、第64回ミュンヘン国際音楽コンクール特別賞、第37回スイス・リッド音楽コンクール第2位、第69回ジュネーヴ国際音楽コンクール特別賞など国内外の数々のコンクールで入賞。ルツェルン交響楽団、フライブルク歌劇場、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー、PMFなど国内外のオーケストラにて経験を積む。
これまでにフルートを北村薫、酒井秀明、平野正子、J.ベンソン、J.グラント、F.レングリ、J.プルチーニ、S.モレル、P.グレールの各氏に師事。
現在はフルートを教える傍ら、音楽家のファッションコンサルティングや留学アドバイザー、通訳、翻訳など活動は多岐にわたる。ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師。
公式ホームページ
https://mayuko-akimoto.com/
Instagram
mayukoakimoto_flute
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