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ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~

Memories Of You

Vol.52 飯澤 優美 先生

T. ベーム
グランド・ポロネーズ OP.16

私の思い出の一曲は、ベームの「グランド・ポロネーズ」です。
この曲は、ドイツ留学中に大学院受験のために取り組んだ曲であり、入学後も一年近く向き合い続けた特別な作品です。

留学したばかりの頃は、生活にも言葉にも慣れておらず、毎日が精一杯でした。授業やレッスンでは、自分の思っていることをうまく伝えられず、悔しい思いをすることも多くありました。特に印象に残っているのは、ハインツマン先生から「なぜここはこう吹くの?」「どうしてそう表現したいと思ったの?」と、自分の意見を何度も求められたことです。

また、レッスンを聴講していると、クラスメイトたちは皆、自分の意思をしっかり持ち、自分の考えを積極的に発言していました。先生の意見をただ受け入れるのではなく、自分はどう感じるのか、なぜそう考えるのかを堂々と伝える姿に驚かされると同時に、多くの刺激を受けました。

もともと私は、人前で自分の意見を述べたり、前に出たりすることがあまり得意ではありませんでした。留学当初は周囲にうまく溶け込めず、自分の殻に閉じこもりがちだったと思います。そんな私に対して、ハインツマン先生は演奏だけでなく私自身のこともよく見てくださり、「もっといろいろな人と話しなさい」「殻に閉じこもっていてはいけない」と声をかけてくださいました。その言葉は当時の私には耳の痛いものでしたが、音楽を学ぶことは技術を磨くだけではなく、人と関わり、自分自身を表現することでもあるのだと気づかされました。

それまでの私は、楽譜に書かれていることを正確に演奏することばかりを考えていました。しかしドイツでは、自分自身がどう感じ、どう表現したいのかを深く考えることが求められました。また、「先生に言われたから吹く」のではなく、自分自身が本当に納得して演奏しているのかを常に問いかけられました。答えがすぐに出るわけではなく、何度も悩みながら曲と向き合った日々を覚えています。

恩師のハインツマン先生と


どんな意見を伝えても、ハインツマン先生が頭ごなしに否定することはありませんでした。生徒としてではなく、一人の人間、一人の音楽家として意見を尊重してくださったことは、当時の私にとって、とても大きな経験でした。その環境の中で、自分で考え、自分の言葉で伝えることの大切さを学びました。

「グランド・ポロネーズ」は、技術的にも難しい曲ですが、私にとってはそれ以上に、自分の音楽との向き合い方、そして人との関わり方を大きく変えてくれた曲です。今でもこの曲を聴くと、慣れない土地で必死に学び、自分なりの音楽を探していた当時の気持ちを思い出します。


<楽譜のご案内>

楽譜ID:13019

グランド・ポロネーズ OP.16
(「ゴールデン・エージ2」より)

T. ベーム

出版社:ZEN-ON

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IIZAWA YUMI
飯澤 優美 先生 名古屋教室 水曜日クラス

東京音楽大学を経て渡独。
ドイツ・国立ハンブルク音楽演劇大学修士課程を満場一致の最高点で修了。
第57回全日本学生音楽コンクール中学の部第3位。第59回同コンクール高校の部奨励賞。 第10回びわ湖国際コンクール高校の部、第25回かながわ音楽コンクール一般の部 入選。第11回国際芸術連盟主催一般部門 JILA 管楽器の部第2位。日本クラシック音楽コンクール全国大会大学の部第 3 位(1位なし)。 第2回ジェイフォスフルートアンサンブルコンクール審査員奨励賞ならびにオーディエンス賞を受賞。
ハンブルク市庁舎、NDR(北ドイツ放送響) ライスハレ等でも演奏。
留学中、ユーディ・メニューイン音楽財団奨学生。
2014年までHarvestehuder sinfonieorchester団員。首席奏者としても活動。
これまでにフルートを鈴木章浩、酒井秀明、斉藤和志、細川順三、甲斐雅之、 ハンス=ウド・ハインツマンの諸氏に、ピッコロをユルゲン・フランツ氏に師事。
また、P.マイゼン、A.リーバークネヒト、R.グライス=アルミン、J=C.ジェラール、K=H.シュッツ諸氏のマスタークラスにて研鑽を積む。
2017年9月完全帰国。現在、関東と東海地方にて、室内楽・オーケストラ等で幅広く演奏活動している傍ら、後進の指導にもあたっている。ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師。

※プロフィールは、掲載時のものとなります。最新情報につきましては、こちらよりご確認ください。

Vol.53 小澤 恭子 先生(次回掲載予定)