第2楽章「急流の岸」。この音型が、ボザのよほどのお気に入りだったらしく、別の作品、Fl.とPf.のための「Soir dans les Montagnes」やMarcelMuleに捧げられたサクソフォンのための「12 Etudes-Caprices op.60」(no.7)【譜例1】 とクラリネットのための「14 Etudes de Mecanisme」(no.10) 【譜例2】にも登場します。
譜例1
譜例2
ついでながら、このSaxのエチュードには、Image(no.6) 【譜例3】も、Agrestide(no.1)もでてきます。ヴァイオリニスト出身のボザは様々な管楽器も熟知しており、自作のフレーズの使いまわしではなく、その素材を用いて、自らの語法をいろんな管楽器奏者に理解してもらおうとしているのだと思います。たとえば、今回のFl.のためのエチュードの No.2 は、クラリネットの為に書かれた、「14 Etudes de Mecanisme」のNo.9 【譜例4】 とも重なります。要するに、この「14 Etudes-Arabesques」は、ボザが好んだ特徴的な音型=Arabesques(アラビア風唐草模様)を存分に楽しめる一冊であり、その音型や、ハーモニーは、イベールなど、同時代の作品にも通じる香りを持っているのです。