解説
管弦楽作品「『牧神の午後』への前奏曲」は、ドビュッシーの初期の代表作。マラルメの詩『牧神の午後』に着想を得て1892年から1894年にかけて作曲され、初演では大喝采を受けました。古代ギリシャの牧神パンが眠気を誘う昼下がりに2人の優雅なニンフの夢想にふける詩の内容を、ドビュッシーは筋書きを追うのではなく、新しい音作りで展開してみせました。彼は、当時、珍しかったジャワのガムラン音楽に着目するなど未知の響きを模索し、絵画や詩にも関心を持って、新しい感性を満足させる音楽を模索していましたが、その試みがこの曲の中にも多く見られます。冒頭のフルート・ソロは、三全音(Cis‐G)を下行し、また上行するけだるいメロディーで始められ、豊かに響く七の和音が出現しても古典的な和声法の通りには解決せずにその響きに充足し、開放感が感じられます。最初のフルートのメロディーが繰り返される中、周りのオーケストラの書法が刻々と変わる発想も新しいものです。変ニ長調の弦楽器のメロディーがユニゾンで奏でられる中間部では、低音に三全音の音程が置かれていて不思議な感じを与えています。フルートとピアノの編曲版は、今回掲載の1984年に出版されたレンスキ版のほかに、ドビュッシーの同時代者であったサマズイユ版(楽譜ID:7948)などがあります。スタッフより
特撰コーナーにて取り上げています⇒ドビュッシー生誕150年「第4回 ビリティスの歌、牧神の午後への前奏曲」ニュース
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