解説
20世紀の初め、パリ音楽院声楽科教授エティシュは学生のレッスンで使うために、「ヴォカリーズ・エチュード」を編纂しました。歌詞なしで母音のみを使って、声色とハーモニー、音程、フレージング、リズムなどに集中させるエチュードです。フォーレ作曲のこの曲は第1巻の第1番でホ短調でしたが、その後、フルート、オーボエ、ヴァイオリンのためにイ短調に移調して出版されました(「ヴォカリーズ・エチュード」は10巻まで続き、有名なラヴェルの「ハバネラ形式の小品」は第2巻に収められています)。1906年にこの曲が作曲された頃、フォーレはパリ音楽院院長の要職にあり、後期の歌曲の名作「イヴの歌」に取りかかっていた時期でした。4拍子に乗って淡々と進むメロディーは、もともとエチュードのために作曲されたことなど忘れて、音楽のあるべき姿を伝えてくれる滋味深い小品です。ピアノ伴奏パートも素晴らしく、最初の小節でピアノの左手が付点のリズムで静かに歌い出す時、はるか昔に往年の名ピアニスト、ピュイグ=ロジェ先生に弾いていただいた響きが懐かしく思い出されます。スタッフより
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