解説
H.ススマンはベルリン生まれのフルーティストで、1812年に歩兵部隊軍楽隊に所属し、後にロシアのサンクトペテルグルクの歌劇場、王室礼拝堂で活躍、1836年に音楽総監督に就任しました。彼の名前は1840年に出版された最も有名な4巻からなる教本(作品53)で知られています。曲は4楽章構成で、第1楽章はソナタ形式で書かれ、第1主題はアウフタクトと付点音符が特徴で行進曲風の力強い堂々とした旋律です。第2主題は女性的なしなやかなメロディーが特徴で半音階的対旋律が映えます。第2楽章は三部形式で書かれ、冒頭主題は田園風な長閑なセレナードの旋律を美しく響きかせ、中間部は対位法的に各パートが主題を軽快に追いかけて展開されます。第3楽章はトリオ付のメヌエットで、アウフタクトを持つ軽妙な主題が特徴で、展開部の要素を見せる対位法的で優美なトリオが対照的です。第4楽章はロンド形式で書かれ、アウフタクトを持つ軽快なロンド主題が爽やかで、副主題の跳躍進行と技巧的三連符の絡みが印象的です。19世紀ロマン派の名フルート四重奏曲の一曲として貴重な作品です。(解説/佐野悦郎)ニュース
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