解説
この曲は、チャイコフスキー自身の作品ではなく、J-P.ランパルから「まだ知られていないチャイコフスキーのフルート曲がある」と聞いた弟子のジェームズ・ストロースが尽力して資料を集め、復元を試みた作品です。1893年に自筆で記されたフルート曲のスケッチは残されているのですが、そこからの復元は難しかったため、チャイコフスキーの他の作品を再構成して作られました。第1、第3楽章には、音楽院時代の1864年に書いた2本のフルートと弦楽オーケストラのための「序奏とアレグロ」が使われています。1楽章のカデンツァは歌劇「オルレアンの少女」からの引用で作られましたが、最後の部分に「悲愴交響曲」の有名な主題が現れるサプライズがあります。また、ピアノのための「無言歌」第3曲「ハプサールの想い出」に、タファネルがフルートの変奏部分を重ねて書き入れた楽譜が見つかり、第2楽章に充てられました。全体の繋がりに必然性を求めるのは難しいですが、史実を復元した作品としての価値はあると思います。(解説:三上明子)ニュース
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