解説
フランツ・ベンダ(1709-1786)は18世紀中葉のベルリン楽派の1人です。ボヘミア出身のため、チェコ語の名である「フランティシェク」も用いられます。プラハとドレスデンで学び、皇太子時代のフリードリヒ2世(大王)にヴァイオリン奏者として仕え、大王の即位後は首席奏者になりました。1766年に出版された自伝は、当時の音楽家の活動の記録として大変貴重な資料となっています。音楽著述家チャールズ・バーニーは、ベルリン宮廷に所属音楽家のうち、F.ベンダとC.P.E.バッハのみ、独創性があったと讃えています。『F.ベンダ主題目録』を著したダグラス・A・リーは、現在確認できるベンダの5曲のフルート協奏曲の作曲年代を1762〜63年以前としています。イ短調の協奏曲は、全体的に多感主義の要素で支配されています。第1、3楽章には技巧的な部分も散見されますが、情感豊かな旋律を装飾していると言えます。ハ長調の第2楽章はイ短調への転調を含み、歌詞のあるアリアのような雰囲気が魅力です。フルート・パートの手稿譜の最後のページに欠損があり、第3楽章の一部は校訂者により小さな音符で補われています。(解説/諸田大輔)ニュース
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