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解説
ヘンデルのフルート・ソナタは作曲された当時から、楽譜を出版業者がヘンデルの許可なく出版したりしたので、実像がつかみにくいところがあります。作品1の1aと1bという作品番号はドイツ・ヘンデル協会版(1879)において、クリュザンダーによって付けられました。作品1の1bは、アムステルダムのロジェが1722年頃、ロンドンのウォルシュが1732年頃に出版した楽譜で共に1番とされた作品。この曲は、実はニ短調のヴァイオリン・ソナタの原作があり、長2度高く移調してあるので、第1楽章15小節からe、fが使われて、トラヴェルソには高すぎる音域のまま今日に伝わっています。作品1の1aはヘンデルの自筆譜が残された作品です(1楽章の音域もトラヴェルソ用に直してある)。第1楽章と第4楽章は1bと同じ楽章ですが、第1楽章の表示がGraveとLarghettoと違うのは、ヘンデル自身、フルートに置き換えた場合、ずっと軽く演奏した方がよいと考えたからでしょう。ヘンデルのソナタに取り組む時、音域や装飾やいろいろな問題を超えて、シンプルな美しさを表現できたら素晴らしいことです。(解説/三上明子) ソナタ ロ短調 HWV 376(ハレ・ソナタ 第3番) ロンドンを拠点に活躍したヘンデルは、オペラ、オラトリオなどの作曲家兼オルガニストとして18世紀において傑出した名声を誇る存在でした。ハンブルクとイタリア各地のオペラ座で培った経験がロンドンで存分に発揮されたのです。多忙だったヘンデルの室内楽曲は、当時の出版業者によって編集・出版されることが多かったため、偽作と思われる作品も混じっていることがあります。1730年にロンドンでウォルシュによって出版された曲集に含まれるこのソナタも、現在では、その他のヘンデル作品と関連がないことから、偽作説も出てきています。(「ハレ・ソナタ 第3番」という題名は、19世紀の学者クリュザンダーがヘンデルの若きハレ時代の作品と推定したために付いた呼称です。)しかし、ヘンデルらしさが伝わるソナタなので、学術的な研究によって遠ざけてしまうのはもったいないと思います。第1楽章 Adagio 愁いを帯びた曲想。通奏低音に現れる付点のリズムを他にも応用すると良いでしょう。第2楽章 Allegro 通奏低音の活発な動きが印象的。第3楽章 Largo 次の楽章への繋ぎの役割。第4楽章 Allegro 3/8拍子のリズムに乗って、へミオラやタイのパズルを解くように進みます。ニュース
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