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ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~

Memories Of You

Vol.29 渡辺 庸子 先生

シューベルト
「しぼめる花」による序奏と変奏 OP.160(D802)

数あるフルートの名曲の中でも、ランキング上位を飾るであろう「しぼめる花」。
フルーティストだけでなくピアニスト泣かせでもあることから、学生時代も後半になってようやく向き合った作品です。
タイトルの通り、しぼめるか?そうでないか?は冒頭の5音次第…
なかなか決まった型を見出しにくく、今でも吹くたびに出口の無い迷宮に入り込んでしまいます。
そんな悩ましいこの曲、懐かしく思い出されるのは恩師である大友太郎先生のレッスンのひとコマです。
問題の冒頭~シドラシミ~。これは残念ながら紙面に書けませんけれど、先生がおもむろに吹いてくださったあの音色…それは疑いもなく「しぼめる花」。おそらく一度きりだったと記憶しますが、今思えば先生の音色を独占した贅沢な時間だったのですよね。
そこから続いていくバリエーションでは、細かい音符をどう捉え、いかに丁寧な演奏に努めるか…作品の本質を追求するためのヒントを与えていただきました。
黒々した音符をすっ飛ばして吹いていた生徒を前に、ため息をつかれるような面持ちで諭されたことは今でも忘れません。
「この曲をすごい速さで吹く人もいるけれど、もっと大切なことがあるんだよ。そこを考えなければいけない。」

もうひとつ、大学を卒業した翌年だったと思いますが、ヴォルフガング・シュルツ先生のマスタークラスを受講する機会がありました。
この時には5音問題よりも第7バリエーションに焦点がいきました。

ヴォルフガング・シュルツ先生のマスタークラス


「このバリエーションはマーチなんだ!」
なるほど。絶望の末のマーチ!何だかストンと腑に落ちたというか、途端に自分も救われたような気持ちになった事を記憶しています。そしてそう考えることで、この作品が持つバリエーションの展開の妙を再認識させられたのです。
床をドシドシさせて踊りながら教えてくださったシュルツ先生の姿…第7バリエーションはもはやこの残像無しに吹くことは出来ません。
お二人からいただいた貴重な「おもひで」に感謝しながら、この作品の素晴らしさを伝えていきたいと思います。

<楽譜のご案内>

楽譜ID:13996

「しぼめる花」による序奏と変奏 D.802

シューベルト

出版社:UNIVERSAL

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WATANABE YOKO
渡辺 庸子 先生 新宿教室 金、日曜日クラス

国立音楽大学卒業。武岡賞受賞。
大友 太郎、金 昌国、渡部 亨の各氏に師事。パウル・マイゼン氏の指導を受ける。
フルートトリオ「響」・フルート&ピアノデュオ「Spin the Tone」を結成しコンサート活動を行なっている。
現在ムラマツフルートレッスンセンター講師、国立音楽大学附属小学校非常勤講師。

official website
https://www.yoko-flute.com/

※プロフィールは、掲載時のものとなります。最新情報につきましては、こちらよりご確認ください。

Vol.30 平田 茉莉子 先生(次回掲載予定)