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ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~

Memories Of You

Vol.40 東條 茂子 先生

F.マルタン
バラード

ジュネーヴ生まれのフランク・マルタンはスイスを代表する作曲家の1人です。
「バラード」は1939年の第1回ジュネーヴ国際コンクール・フルート部門の課題曲として作曲されました。霧の中から何かが立ち顕れてくるように始まり徐々にエネルギーを増し、最後は渦巻くエネルギーが突然断ち切られるように終わるこのドラマティックな曲には、第二次世界大戦が始まった1939年という時代の空気も反映されているように感じられます。
話は変わり、幼い頃から「ピアニスト」を目指してレッスンに励んでいた私が手の大きさ(小さすぎる!)を理由にピアノを諦め、でも音楽の道は諦められず「管楽器なら今から始めても間に合う。フルートは?」というピアノの先生の一言でフルートを始めたのは中学3年の終わりでした。

ニースの講習会

アラン・マリオン メモリアルコンサート

そして音楽大学に合格できたのですが、入学後は実力競争から落ちこぼれて灰色の学生生活を送っていました。だから4年生になって卒業後を考えた時、「日本から出て自分を変えてみたい」という思いが湧き上がってきたのだと思います。そして情報を集め、9月にジュネーヴ音楽院を受験し、夏の間はニースの講習会に参加してアラン・マリオン先生のレッスンを受けると決めて日本を出たのですが、いよいよ講習会が始まるとフランス語は話せないし先生も怖く(マリオン先生には一度日本でレッスンを受けたことがあるのですが全く反応できず、峰岸壮一先生に「これじゃ先生がかわいそうだ、とマリオンさんから言われたよ。」と呆れられた記憶があるので)すっかり怖気付いてしまい、「今日は誰から?」という声に何日も手を挙げられませんでした。

とうとう残りあと1人か2人という状況になって、意を決して舞台に上がって吹いた曲がマルタンの「バラード」でした。自信など全く無かったのですが、なぜかその時はマリオン先生の生徒を引っ張る強力なエネルギー、「Allez! Allez!(行け!行け!)」という言葉に引き摺られ乗せられて、いつもの自分ではないような演奏をすることができたのです。先生にも「シゲコ、やればできるじゃないか!」と褒めていただき、自分でも初めて「何か変わった」と思えた体験でした。9月に入学できたジュネーヴ音楽院のヴィオラ科にはマルタンの写真そっくり!のお孫さんがいて、ますますこの曲が身近に感じられました。


門下生ではないにもかかわらず、2018年にマルセイユで行われたマリオンさんのメモリアルコンサートに出演させていただいたことも大切な思い出です。

<楽譜のご案内>

楽譜ID:1451

バラード

F.マルタン

出版社:UNIVERSAL

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TOJO SHIGEKO
東條 茂子 先生 新宿教室 木曜日クラス

福島市出身。桐朋学園大学卒業。ジュネーヴ高等音楽院にてM・ラリュー氏に師事、プルミエ・プリにて卒業。在学中より「ジュネーヴ音楽協会」のメンバーとしてスイス国内でのコンサート、ロマンド放送への録音に参加。帰国後はソリスト、室内楽奏者として日本を始めフランス、イタリア、スイス、韓国等、国内外で広く演奏、教育活動を行っている。モダン楽器と並行し古楽器奏者としても長年活動している。ピッコロ奏者としての評価も高い。
師ラリューとの共演盤を含む録音はskarbo(フランス)、Pavane(ベルギー)、フォンテック、ALMからリリースされいずれも各国プレスより高評価を得ている。ダルクローズリトミック国際免許を保持。

公式ホームページ
https://www.shigekotojo.com

※プロフィールは、掲載時のものとなります。最新情報につきましては、こちらよりご確認ください。

Vol.41 森本 英希 先生(次回掲載予定)