ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師による
~おもひでの名曲~
Memories Of YouVol.48 黒田 聰 先生
J.S.バッハ
ソナタ ロ短調 BWV1030
家庭の事情で幼い頃からフルートに触れてきました。その中で様々な曲に出会い、吹き方、考え方、音楽の捉え方に影響を受けてきましたが、お気に入りの曲というのは未だ数曲しかありません。僕の「おもひでの名曲」では「人生できっかけになった曲」「お気に入りの曲」のどちらにも当てはまる数少ない一曲、J.S.バッハ作曲「フルートとチェンバロのためのソナタ ロ短調 BWV1030」を取り上げたいと思います。
特に大きなきっかけになったのが、昨年末お亡くなりになったP-L.グラーフ先生のレッスンをこの曲で受けたことでした。今考えれば「グラーフ先生のレッスンにバッハのh-mollを持っていくなんて、なんて身の程知らずな…」と思いますが、若くて何もわかっていないからこそ大胆なことも出来たのだと思います。
一番印象に残っているのは第三楽章でした。とにかく「ジーグ」という舞曲が感じとれないんですね。決して怒られている訳ではないのですが、レッスンで先生の言ったことが全然できない時の焦りといったらそれはもう…楽器を習ったことのある方は共感いただけると思います。結局当時は「ジーグ」を掴むことはおろか仮説の段階にすら至れず断念してしまいました。
P-L.グラーフ先生との思い出の一枚
その後年月が経ってムラマツレッスンセンターで講師をさせていただき、今度は演奏するだけでなく指導をする立場にもなり、楽譜をあらためて読むことで、より客観的に自分の目でも読めるようになってきた気がします。音楽のスタイル、要素がものすごく詰め込まれているんですね。アウフタクト、シンコペーション、アーティキュレーション、拍子感、そしてそれを明確に伝えるための音色、更に実現させるための様々なテクニック。それぞれの要素がお手本のように散りばめられており、更に第一印象で感じたメロディの素晴らしさ、チェンバロとのかけ合いと終始「歌謡的」な素晴らしさと「音楽的」な多様さが同居している様に思います。
是非表面の美しさ、その少し先にある面白さを楽譜を手にとって、演奏会に足を運んで楽しんでいただければと思います。
KURODA SATOSHI黒田 聰 先生 /横浜教室 土曜日クラス 新宿教室 火・金曜日クラス
6歳からフルートを始める。
2005年東京藝術大学音楽学部器楽科卒業後渡独、2007年ドイツ・シュトゥットガルト国立芸術大学卒業。
第52回全日本学生音楽コンクール東京大会奨励賞受賞。
これまでにフルートを石橋正治、金昌国、中川昌三、ジャン=クロード・ジェラールの各氏に師事。仙台バッハアカデミーにてP-L.グラーフ氏のレッスンを受講。
現在はソロ、室内楽、オーケストラでも活躍。Musica Essence、森の五重奏団メンバー。尚美ミュージックカレッジ専門学校、ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師。
※プロフィールは、掲載時のものとなります。最新情報につきましては、こちらよりご確認ください。

