フルート豆知識

Repair Room
  • 技術課長 伊藤史安
  • 皆さんが日頃フルートに関して何だろう? なぜ? どうして? と思っていることをお話します。

    技術課長 伊藤史安

Vol.2 Eメカニズム(その2)

リングキーのEメカにはインラインとオフセットの2種類ありますが、カバードキーとリングキーそれぞれに、ノーマルのものとヒンジ付きのものとがあります。EX・GXモデルではEメカ インラインはありませんが、DS以上のモデルではEメカ インラインもお選びいただけます。左手の薬指がどうしても塞がらない方にはオフセットタイプをお勧めします。
  • ●Eメカ オフセット

    Eメカ オフセット
  • ●Eメカ インライン

    Eメカ インライン

さて、ヒンジ付きってなんでしょうか? なかなか見ないタイプなので知らない方も多いと思います。
ネジを緩めて、Eメカをオン・オフできるようにしたものです。

  • ● Eメカ オン

    Eメカ オン
  • ●Eメカ オフ

    Eメカ オフ

なぜこのオプションがあるのでしょう?
Eメカが付いていると3オクターブ目のGとAのトリルの時にうまくいかない運指があります。右手の中指が絡む運指はEメカの為に表Gisキーが塞がれたままになる為、使えません。他の運指では、音の安定性に欠けるものもあるので、Eメカをオフにしてトリルを行っている方もいらっしゃるようです。ドイツ系のフルートにはEメカニズムとG/Aトリルが一緒に付いているものがあります。上記の問題を解決する理由の一つだと思いますが、使用する頻度と代替の運指でも出来るので、現在ではEメカだけ付いているフルートを使う方が多くなっています。


また、次のような話を聞いたことがあります。
オーケストラで1番フルートのアシスタント(大きな編成で使われます)を吹く人が高いEの音をユニゾンで音を伸ばす時に、1番フルートの人の楽器に合わせてEメカが付いている場合はオンにして、付いていない場合はオフにする。
Eメカ付きと無しでは多少音色が違います。音に対する演奏家のこだわりですね。