商品ID:13668
マクシミリアン・シュヴェードラー/FLOTE UND FLOTENSPIEL
ライネッケは、それぞれの楽器奏者からアドバイスを受け、例えばボウイング(運弓)を記入してもらうなどして、清書楽譜の作成に音楽家の友人たちを巻き込みました1。《バラード》op.288のフルートパートにあるブレスマーク(V)とオッシア(代替案)のパッセージ(90-93、114-117小節目)は、そのような協力によって生まれたものと思われます。ライネッケはおそらく、ゲヴァントハウスのフルート奏者マクシミリアン・シュヴェードラーの助言を受けたのでしょう。シュヴェードラーの著書『Flöte und Flötenspiel』(1910年)での言及から、彼は《バラード》に関しては、出版前からop.286として知っていたことが推測できます。さらに、前述の手書きのフルートパート譜に多くの書き込みがあることから、シュヴェードラーはすでに《フルート協奏曲》op.283の作曲過程にも関わっていたことがわかります。
このように、2つの異なる版を通じて《バラード》op.288の初版の制作過程が分かるとしても、作曲家の生前に何らかの試演やコンサートが行われたかについては、これまで何も明らかになっていません。ライネッケの自筆署名のある初版のタイトルページでは、作品番号が288に更新されていることから、生前に出版の準備自体はされていたことが推測できます。しかし、楽譜の印刷版製作はおそらく1910年10月11日の著作権譲渡後に着手されたであろうことから、作曲者による校正の可能性は低いと考えられます。
カール・ライネッケ/バラード
Urtext edited by Henrik Wiese
2024年末、ブライトコプフ&ヘルテル社より《バラード》op.288の新たな原典版が、オーケストラスコア(PB 5749)、パート譜のセット(OB 5749)、ピアノ伴奏版(EB 9475)として出版される予定です。この原典版では上述の2つのバージョンが並べて比較されることになります。オーケストラスコアには、各楽器パートと並行してライネッケ本人によるピアノ伴奏譜が印刷されており、ピアノ伴奏版には、初版のオリジナルと、今回新たに作成されたピアノ・リダクションが両方収められています。これにより、2つの版の違いを分析することがより容易になることでしょう。そして比較を通じて、音楽をより深く理解することができるのではないでしょうか2。まさにこの緻密で徹底的な研究こそが、ライネッケが大切にしていたことだったのです。
音楽に対する「表面的」なアプローチは、ライネッケの悩みの種だったようです。例えば、作曲家エルンスト・プリモシッチについての評価からそれがうかがえます。ライネッケは自分の弟子であったプリモシッチについて、「彼は音楽を徹底的に追求したというよりも、音楽をかじった程度だ」と書き残しています3。
ここで注意すべきは、他の作曲家の作品、特に並行パッセージにおける差異をライネッケは容認し、それを楽しんでさえいたということです。これは数々の発言からも明らかです4。そのため、新しいブライトコプフ原典版では、均一化(ライネッケはアプラナシオンまたはレベリングと呼んでいる)を可能な限り控えています。とはいえ、音楽をより滑らかにするために、責任を持って曲のあちらこちらに介入すること自体は、芸術的自由に委ねられます。結局のところ、相違が意図的なものか意図せず生じたものかを見分けることは、ほとんど不可能だからです。
1D-KNa Signatur Best. 1038, A2. Brief vom 19. September 1908 aus Leipzig an [Albert Payne]. Bl. 1r, Z. 9–15.
2Das Ergründen der Musik erwähnt Reinecke in seinem Brief vom 19. Oktober 1889 aus Leipzig an einen ungenannten Doktor. D-LEsm A/4271/2009.
3Das Naschen an der Musik erwähnt Reinecke abwertend in seinem Brief vom 27. Oktober 1884 aus Leipzig an Rudolf Bunge. D-KIl Ca – Autographen, Reinecke, Carl. Bl. 1r, Z. 10, Bl. 1v, Z. 1–4.
4Eins von vielen Beispielen, in denen sich Reinecke zur Vorsicht gegenüber der Angleichung ausspricht, findet sich in: Carl Reinecke: Die Beethoven’schen Clavier-Sonaten. Briefe an eine Freundin. 3. Auflage Leipzig [1900]. S. 58f.
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