収録内容
ライネッケ | フルート・ソナタ 「ウンディーネ」 OP.167 (DVD) | 北村薫 |
解説
この “ウンディーヌ” というソナタは、私にとってとても懐かしい曲です。 留学を終えて帰るときにフライブルグの楽譜屋さんで見つけて、そのまま荷物に詰め込んで帰国し、第1回目のリサイタルで演奏したのですが、ずっと後になって、この曲を日本で演奏したのは私が最初だったと聞かされ、驚いた覚えがあります。 もう25、6年も昔の話です。 第1楽章では絶えず動くさざ波のリズムを、第2楽章ではイベールのコンチェルトの出だしのようなスタッカートと神秘的な音作りを、第3楽章では中身のあるルパートを、そして第4楽章では急き立てられるようなアパッショナートが要求され、それぞれの楽章がフルートの表現に必要な性格を網羅していますので、ビデオで見るには、なかなか見応えのあるものだと思います。 シュルツ先生のレッスンを聞いていると、その昔、演奏会でもまだ聞いたことのない、レコードもまだ出ていなかったこの曲に、四苦八苦して立ち向かっていた頃を懐かしく思い出すのですが、あの頃、訳も分からずにただ直感だけに頼って続けたアプローチが、そんなに間違っていなかったなと、妙な安心感を覚えるのです。 リズムを表現するためのテクニックや、跳躍した音をきれいにレガートで演奏するためのテクニック、また、随所で必要となるガラリと音色を変えるためのテクニックや、柔らかく繊細でしかも神秘的な音を作るためのテクニックなど、シュルツ先生は色々な練習方法をこのビデオの中で教えてくれています。 そして、ドルチェやアパッショナートにおけるテンポの維持も、しつこくうるさいほど注意しています。 結局これらは、フレージングやアーティキュレーションの問題なのですが、「音もいい、ビブラートもいい。けれども、音楽が最も重要なのです。」 という、シュルツ先生の言葉が印象的でした。解説●斉藤賀雄 東京音楽大学教授 元・読売日本交響楽団フルート奏者ニュース
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