解説
L.de ロレンツォはイタリアのヴィッジアーノ生まれで、20世紀の初頭に渡米して、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとするアメリカ各地のオーケストラ奏者を歴任したフルーティスト兼作曲家です。彼は後にイーストマン音楽大学で教鞭をとり、晩年までに未出版の作品を含めて多くの管楽器室内楽曲、独奏曲、練習曲、教育書等を完成させました。中でも『私のフルート物語』はあまりに有名であり、当時の多くの話題を提供してくれます。彼はこの書物の中で、この『大練習曲』の草案、完成までのいきさつを記述しています。要約すると、「1896年、イタリア軍に召集され、帰国し軍楽隊の任務に就く。この時に屋根裏部屋にこもる機会を見つけては作曲活動を始める。その時、最初の作品がこの『大練習曲』(作品1?)である。……また、丁度その時期に、E.ケーラーが『30の技巧的練習曲 作品75』を出版したばかりで、これに大変興味を持ち演奏した。……」とあります。E.ケーラーの影響を強く受け、それに負けじと意識したと考えられる、この『大練習曲』は表題の芸術家(KÜNSTLER) の名に恥じない最も有名な最上級練習曲になっています。副題に「無窮動(Moto Perpetuo)と示されている通り、全9曲の近代的な響きのする超技巧・無窮動的・耐久大練習曲になっています。特に半音階的半音連続進行、大跳躍は見事ですが、演奏不可能とさえ思われる楽句が連続して現れるのには驚嘆せざるを得ません。(解説/佐野悦郎)ニュース
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