解説
尹 伊桑(イサン・ユン)は韓国生まれ、ドイツで活躍した現代作曲家です。この作品はベルリン芸術大学教授在籍中(1977〜87)に作曲され、ベルリン音楽週間(1986)で初演されました。彼が提唱する12音技法の「主要音」とは、韓国の民族音楽に基づく書法で、持続音の12音階的旋律が主要音を指し、そこに纏わり付く微細な超技巧的装飾楽句が特徴です。この作品は、特殊楽器の機能性を模索した「エチューデン(1974)」[Solo.I-V=Fl./AFl./Picc./BFl./Fl.]の影響、そして現代特殊奏法と装飾技法は「インヴェンション(1984)」[für 2Fl.]の書法、「I. Triller、II. Glissandi、III. Vorschläge(前打音)、IV. Harmonie」の影響を受けていると考えられます。全4部で構成された超絶技巧現代四重奏曲で、各部毎に編成、曲想、テンポが変化し、切れ目なく演奏されます。各部は共に主要音の平行3度進行旋律同士が二重(ふたえ)になって綾をなす「複二重奏様式」で書かれ、それぞれに持続連鎖するトレモロ、トリル、複前打音で隙間なく装飾され幽玄な響きを放ちます。各部の複二重奏同士の多彩な編成は次の通り。1部[2AFl.2BFl.]は[I, II AFl.]&[III,IV BFl.]、2部[4Fl.]は[I, IV Fl.]&[II, III Fl.]、3部[2Fl.2Pic.]は[I, II Fl.]&[III, IV Picc.]、4部[Fl.AFl.Pic.BFl.]は[I Fl., III Picc.]&[II AFl., IV BFl.]です。(解説/佐野悦郎)ニュース
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