解説
ペンデレツキはポーランドの現代作曲家。1960年、トーン・クラスター技法を全面的に使った弦楽のための「広島の犠牲者の追悼のための哀歌」で一躍、注目を集めました。宗教的な題材を用いた「ルカ受難曲」(1965)は、代表作とされます。その後、スターン、ロストロポーヴィチ、アンネ=ゾフィー・ムターなど著名なソリストのために次々と協奏曲を作曲するようになります。「フルートと室内オーケストラのための協奏曲」は1992年、ローザンヌ室内管弦楽団50周年のために委嘱され、翌年にランパルと作曲者自身の指揮によって初演されました。ソロのフルートと木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器それぞれのパートが室内楽的に精密に関わり合い、各所にカデンツァをはさむ、独特なスタイルの協奏曲となっています。3音の音形がしりとりのように他の楽器に受け継がれるなど、分かりやすい工夫が見られます。クラリネット・ソロに始まり、主にスタッカートで各楽器が活発にやり取りする最初の部分、トランペットが主導する対位法的な部分を経て、抒情的でなだらかなAndanteを中央に据え、Allegro con brioからトムトムの伴奏を皮切りに始まる整然とした部分、フィナーレにふさわしいにぎやかな展開を経て、中間部のAndanteを回想して静かな終止に到ります。(解説/三上明子)ニュース
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