解説
J.S.バッハの末息子ヨハン・クリスティアン・バッハ(1735-1782)は「ロンドンのバッハ」として知られています。1763年にイギリス王室の音楽教師となり、64年にはロンドンに滞在した8歳の神童モーツァルトに多大な影響を与えました。「フルート協奏曲 ニ長調」は2011年のCARUS版に至るまで、やや複雑な経緯を辿ります。1929年のテリーによる古いカタログではベルリンの国立図書館にある第1楽章のみが記載されていました。その後、1958年にパリの国立図書館にある「ロンド」が同協奏曲の第3楽章と判明し、UNIVERSAL版が出版されました。その際、第2楽章には歌劇「ゴールのアマディ」の「アダージョ」が臨時的に挿入されていました。1998年にブリュッセル王立音楽院図書館に残されていた「ラルゲット」を第2楽章とする研究が発表され、99年のウォルバートンによる最新のカタログには全3楽章が記載されることになりました。この協奏曲の前古典派的ホモフォニックな流麗さは、古典派モーツァルトとの比較において多くの示唆を与えてくれます。CARUS版の第2楽章は、改訂によって短縮されたヴァージョンを採用していますが、オリジナルも付録として掲載されています。(解説/諸田大輔)ニュース
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