解説
作曲家自身の解説の通り、フルート基礎奏法を学んだばかりの初心者のために書かれた愛らしく、易しい三重奏曲です。その構造は単一楽章で、複縦線で7つの楽句に仕切られた自由形式の小品です。各パートの音域は極めて制限された音階(旋法)的旋律で書かれています。先ず、【前半部】は変則的な三部形式で書かれ、冒頭のLento, espressivo 4/4[e]は揺れ動き漂う第2&第3フルートの和声上に第1フルートの民謡風主題が響き渡ります。中間Più mossoは第2&第3フルートのリズミカルな春の足音に希望の歌が奏でられます。次にAllegro, dolce 6/8[a]の寂し気な民謡風旋律のエピソード(挿入句)が組み込まれて歌われ、冒頭主題に戻ります。次のAdagio rubato, con sentiment 4/4は感傷的な6連符の旋法旋律が重なり合い【前後】の「間奏」の役目を果たします。【後半部】Allegretto, con anima 3/4[a]は3つの部分からなり、4小節のリズミカルな分散和音動機が「後半部前奏」となり、その軽妙なリズム伴奏に乗って愛らしい「ワルツ主要旋律」が舞われます。最後の「コーダ」は3度、6度、4度平行で流れ下る音階上に、3連符動機が平行して下り、曲を閉じます。櫛田胅之扶は作曲を始めとするあらゆるジャンルの総合芸術を融合させるコーディネーターとして活動しています。(解説/佐野悦郎)ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。