解説
K.クンマーはドイツ・ロマン派が育んだ「多重奏曲の楽園」で、多くの絢爛な華を咲かせてくれました。彼の三重奏曲は全9曲(Op.24[G],30[D],52[e],53[C],58[D],59[A],65[d],72[G],77[A])が残されており、当時アシュダウン社(London;Ashdown & Parry)から全曲出版され、独自の番号付け(No.1-9)がなされ、その最後の「第9番」にOp.77が確認できます。この度、唯一の未再版であったこの三重奏曲が再版(2022)され、全曲出揃いました。第1楽章 3/4 Allegro[A]はソナタ形式で書かれ、6小節の愛らしい民謡風旋律の前奏に続き、上行音階旋律の第1主題[A]が上昇気流の如く3回続いて舞い上がり、美しい旋律が飛翔します。上行音階に導かれ第2主題[E]はワルツ風旋律で舞い踊り躍動します。展開部[C]は3連符上行分散和音伴奏と半音階的下行旋律を縫ってワルツが舞い踊ります。第2楽章Allegretto Scherzand 3/8のトリル風動機主題はロンド風に前奏[F]、2つの間奏[A][A]の役目を持ち、Andante poco Adagio 3/8[F]の優美な装飾旋律と対になり3回踊られます。第3楽章Allegretto Scherzand 2/4[A]はロンド・ソナタ風に民謡風ロンド主題が2回現れ、それに挟まれて2つの軽快な民謡風主題の挿入楽句が転調しながら技巧的変奏展開されます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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