解説
ジョリヴェは、パリ生まれの作曲家ですが、エドガー・ヴァレーズに学び、サロン風の音楽とは全然違う、異国の民族音楽に学んだ生命力あふれる作品を多く残しました。1936年に作曲され、1938年にジャン・メリ (Jean Merry) によって初演された 「五つの呪文」 は、太古の音楽の持っていた不可思議な生命力を回復した意欲作で、ジョリヴェ1930年代の代表作の1つです。ジョリヴェにとって、呼吸と直結したフルートの響きは、呪文や魔術の持つ根源的な宗教性の表現に相応しかったのでしょう。こうした意図は表題にもよく表されています。A : 交渉相手を迎えるために − そして会見が和解に達するようにB : 生まれてくる子が男であるようにC : 農夫の耕す田畑の収穫が豊かであるようにD : 生命と天地の穏やかな合致のためにE : 首長の死へ− その魂の庇護を得るために 執拗に繰り返される呪文は独特のリズムで書かれており、ソルフェージュ能力とフルートを吹く技術と、そして体力を必要としそうです。(解説/三上明子)ニュース
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