解説
本年(2014年)はエマヌエル・バッハ生誕300年に当たります。大バッハの息子として生まれ、フリードリヒ大王の皇太子時代から宮廷のチェンバロ奏者を務めたエマヌエルは、あらゆる分野にわたって非常に多くの作品を残しました。エマヌエルの多感様式は、バロック時代の様式化された表現を通り越して、ロマン派に通じる個人的な感情の表出を目指していました。1953年に出版(2000年に改訂)された『正しいクラヴィーア奏法』第1巻では、「音楽家は、自分自身が感動するのでなければ、他人を感動させることはできないので、聴衆の心に呼び起こそうとするすべてのアフェクトのなかに自分自身もひたることが是非とも必要である」(東川清一訳)と記されています。 「フルート協奏曲 イ長調」は、1753年に作曲されたクラヴィーアのための協奏曲が原曲。作曲者によりフルート協奏曲として編曲されました。第1楽章のフルート・ソロは闊達なアルペッジョで始まり、間髪を入れないオーケストラと共に緊密で明るい楽章を作り上げています。第2楽章は、イ短調に転じ、非常に内省的な内容になっており、エマヌエルのさまよう心情が吐露されます。第3楽章は才気かん発に方向転換しつつソロ・フルートとオーケストラがやり取りを続ける構成。演奏家としてのエマヌエルの面目を感じさせます。(解説/三上明子)スタッフより
特撰コーナーにて取り上げています⇒C.P.E.バッハ生誕300年「第3回 ベルリン時代U(協奏曲)」ニュース
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