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C.P.E.バッハ生誕300周年

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第3回 ベルリン時代 II (協奏曲)

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハがベルリン時代に残した6曲のフルート協奏曲、その全貌を見渡しますと、まるで宝の山に遭遇したような喜びを感じます。独創的な、完成されたエマヌエル独自のスタイルを基にして表現される、それぞれ一曲一曲の全く異なる個性がとても魅力的です。ソリストに高度の音楽性とテクニックを要求しながら、弦楽オーケストラにも同等以上の音楽的価値を持たせ、さながら独奏フルート付き小交響曲という様な、シンフォニックな充実感があります。1、2曲でも内容が素晴らしければ充分と言えますが、このように最高水準のコンチェルトが6曲も揃っているということは、フルート・レパートリーの中では唯一無二のことです。幾つかの楽章には、エマヌエル自作の貴重なカデンツも付いています。

興味深いことにこれら6曲全てに鍵盤楽器のための、そしてその内3曲にはチェロのための異稿があります。これは名鍵盤奏者であるエマヌエルがまず鍵盤楽器のために作曲し、その後フルートとチェロのために編曲したと思われますが、曲によっては同時進行で編曲が行われたかもしれません。唯一、イ短調協奏曲はチェロ稿が原曲であり、後に鍵盤楽器とフルートのために編曲されました。
(1)ニ長調(Wq.13/H416)は1744年、(2)ニ短調(Wq.22/H484.1)は1747年、(3)イ短調(Wq.166/H431)は1750年、(4)変ロ長調(Wq.167/H435)は1751年、(5)イ長調(Wq.168/H438)は1753年、(6)ト長調(Wq.169/H445)は1755年に、それぞれ原曲が作曲されました。
ニ長調協奏曲のフルート稿は、第二次世界大戦後、旧ソヴィエト連邦によってドイツから持ち去られたベルリン・ジング・アカデミーの大量の蔵書類に含まれていましたが、1999年にキエフで発見されました。6曲の中では落ち着いた古典的雰囲気を持ち、第1楽章のソロの登場はモーツァルトのピアノ協奏曲の一節を思わせます。
ニ短調協奏曲は最もロマン的であり、第3楽章はまさに“疾風怒涛”の世界です。駆け回り疾走する溢れ出る情熱を、誰も止めることは出来ません。この“疾風怒涛”(Strum und Drang)は1776年に発表されたクリンガーの戯曲のタイトル名ですが、これが当時の新しい芸術運動の象徴的名称になりました。エマヌエルがニ短調協奏曲を作曲したのは30年も前の1747年のことですが、すでに彼の胸中には、フリードリヒ大王の宮廷を覆う“行儀の良いギャラント・スタイル”の中にはとても収まり切らない、時代の先端を行く革新的な熱い息吹があったのでしょう。

エマヌエルの作品の全般的特徴として、結局のところ「聴く者の耳を常に新鮮に保ち、決して飽きさせない」という事に対する配慮と巧みな技があると思います。ソロ・パートの旋律線の微妙な展開、そして技巧的部分も決してパターン化することなく絶えず変化し新鮮さを保ちます。また弦楽のオーケストラ・パートは驚くほどアイディアに富み、ある時は優しく寄り添い、ある時はカウンターパンチのような強音が現れるかと思えば、また後光のように美しい長音のハーモニーがフルートの奏でる16分音符のヴィルトゥオーゾ楽句を支える。更には突然の32分音符、突然のピッツィカートというような、実に多種多様の、絶妙な“掛け合いの妙技”が繰り広げられます。
イ短調協奏曲の第1楽章は意外なオーケストラ開始の後、逆に淡々とした静かなソロの旋律線が約1ページに渡り歌い継がれていきますが、一切の大げさな事のない中で、必要な分だけの少しずつの変化により新鮮さを保つその手法は実に見事です。第3楽章は、まるでどこかの秘密結社、○○同盟の行進曲!というような、何ともコミカルで、少々グロテスクなマーチが展開されます。(ついに私の妄想癖が出てしまいました。)

アンナ・アマーリアの肖像

イ短調と共に変ロ長調とイ長調の協奏曲にはチェロの稿がありますが、それぞれの楽器の特徴と効果を狙った編曲の違いは大変興味深く、聴き比べると面白く、有意義であり、興奮させられます。
ト長調協奏曲は、フリードリヒ大王の一番下の妹であるアンナ・アマーリア皇女のために、オルガン協奏曲として作曲されました。このアンナ・アマーリアは芸術の守護女神というような素晴らしい人で、マタイ受難曲やロ短調ミサ、ブランデンブルグ協奏曲をはじめとする150曲ものJ.S.バッハの自筆譜を含む、貴重な作品類を収集しました。この「アマーリア文庫」が後世に与えた影響は計り知れません。彼女は作曲をし、フルートも吹きましたが、鍵盤楽器の演奏に長けており、1755年には宮廷を営むベルリンの居城に新しいオルガンを作らせました。このオルガンを弾くアマーリアを想定してエマヌエルは作曲しましたが、同じ総譜の中にフルートのパートも書き込みました。
フリードリヒ大王の下、チェンバリストとして30年に及ぶベルリンでの生活に終止符を打ちハンブルグに向かうエマヌエルに、1768年、アンナ・アマーリアから宮廷楽長の称号が与えられました。


アマーリア王女と建造中のオルガン(Schleuen作)/オルガンは1755年、Peter Migendt と Ernst Julius Marx によってベルリン市中宮殿のバルコニー・ルームに作られた
現在、ベルリン、カールスホルストの福音教会に移設されているアンナ・アマーリアのオルガン
19世紀前半のベルリン市中宮殿の絵(中庭)


C.P.E.バッハ/
協奏曲 ニ長調
(Wq.13/H416)

楽譜ID : 24613
出版社 : RARA

C.P.E.バッハ/
協奏曲 ニ短調
(Wq.22/H484.1)

楽譜ID : 7152
出版社 : KUNZEL

C.P.E.バッハ/
協奏曲 イ短調
(Wq.166/H431)

楽譜ID : 7464
出版社 : RARA

C.P.E.バッハ/
協奏曲 変ロ長調
(Wq.167/H435)

楽譜ID : 8666
出版社 : RARA

C.P.E.バッハ/
協奏曲 イ長調
(Wq.168/H438)

楽譜ID : 7151
出版社 : KUNZEL

C.P.E.バッハ/
協奏曲 ト長調
(Wq.169/H445)

楽譜ID : 8664
出版社 : RARA




<白尾 隆 先生のプロフィール>

東京生まれ。桐朋学園大学卒業。林りり子、森 正の両氏に師事。ドイツ・フライブルク国立音楽大学に入学。オーレル・ニコレ氏に師事。1978年「特別優秀賞」を得て卒業。その後チューリッヒにおいてアンドレ・ジョネ氏に師事。
1980年〜1986年までオーストリアのインスブルック交響楽団の首席フルート奏者を務める。又ソロ、室内楽の分野においても活動、オーストリア国営放送に多くの録音を残す。
1986年帰国。1987年より「サイトウ・キネン・オーケストラ」国内外の公演に参加。現在、桐朋学園芸術短期大学特別招聘教授、武蔵野音楽大学・広島エリザベト音楽大学講師、ムラマツ・フルート・レッスンセンター・マスタークラス講師。
また、ソリストとして幅広い演奏活動を行なっている。

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